弁護士と示談

被害者との間で成立させるべき示談の交渉も弁護士の力量によります。

容疑者が犯行を認めているだけでは裁判官から寛大な気持ちで判決を言い渡されることはあまりないかもしれません。 刑事事件の情状弁護では被害者に対してどう謝罪をしたか、それが受け入れられているかも大きなポイントになるからです。 きちんと謝っているか、そして納得してもらえたかが重要で、それ無しでは事件解決はスムーズにはいかないでしょう。
そのやりとりをしてくれるのも弁護士で、刑事事件に強いほど交渉にも慣れておりお互いに納得のいく交渉をしてくれます。 まずは謝罪ありきですが、ただ言葉で謝っただけでは被害者の方が納得してくれることはまず100%ありえないでしょう。 刑事事件になっている以上、謝罪とは慰謝料もセットと考えます。
というかこちらの方が比重は高くなりそうで、どんなに心の底から言葉で謝罪をしても慰謝料や損害賠償が不十分だと相手に思われたらきっと受け入れられることはない、そう覚悟を決めないといけません。 逆に言葉ではたいした謝罪をしなくとも、慰謝料を相場の何倍も提示すれば即座に示談交渉はまとまるのが現実です。 結局はお金で解決するのですがそのことで被害者を責めてはいけません。 事件に巻き込んでしまい精神的苦痛も与えてしまっているでしょうし、少しばかり慰謝料を貰ったくらいでは許さない、被害者はそのようにプンプンしているので、少しでも気を静めてもらえるように多めの金額を慰謝料として渡さないといけません。
そのお金で新車を購入したり旅行に行ってもらえれば気が晴れるかもしれませんし、お洋服を何着か買うことでもきっと怒りが軽減されるでしょう。 しばらく週末に食べ歩きをする資金にするかもしれませんし、どのような用途でその慰謝料を消費するかはわかりませんが、被害者の心を救済する役に立つのであまりケチってはいけないのかもしれません。 時間をかければ少ない慰謝料で相手も折れるかもしれませんが、それでは事件が全て終わるまでの日数もよけいにかかってしまいます。 なるべく早く示談交渉をまとめて、被害者に嘆願書を書いてもらうのがベストです。
この場合の嘆願書とは被害者の方に「この加害者はちゃんと反省もしているようですし、慰謝料も誠意を持って支払ってくれましたのでもうそんなに恨んでません、寛大な処置をしてあげてください」といった感じのことを書いてもらうことになります。 これが手に入れば裁判官も「被害者がそう言うのなら」と情状酌量の余地があると判断してくれ、軽い判決にしてくれるでしょう。 示談交渉は裁判の行方を大きく左右する要因となるので、それを担当してくれる弁護士の能力が判決に影響を与えるのです。 お金さえ積めばたいていの場合は手早く示談交渉をまとめ上げることは誰にでも可能かもしれませんが、それは費用を気にしない人でなければ無理な方法です。 ある程度相場というものがあり、その10倍の示談金を提示してもいいのなら無能な弁護士にだって簡単に示談を成立させられるでしょう。 ですがそれは10倍の費用が発生することを意味し、どれだけの貯金があるかに関わらず避けたいこと、避けられる出費なのです。 有能な弁護士なら相場に近い金額の示談金で、もしくはやや低い額で交渉をサッとまとめて裁判に備えてくれるでしょう。
被害者の事を考えるとあまりに低い示談金では申し訳ないので、低ければ低いほど良いとはあまり言うべきではないかもしれませんが、支払う側からしたら低額の方がありがたいのも事実です。 常識の範囲内の示談金で素早く交渉を終結させる、そして心のこもった嘆願書もゲットしてくれる弁護士が刑事事件では強い味方になるでしょう。